非営利法人においても一定規模以上の法人は、その社会的役割の大きさから、透明性の確保、ガバナンスの強化の観点に基づき、法定監査が義務付けられています。
法定監査の対象は下の表の通りです。

法人形態法定監査の対象
一般社団法人 、一般財団法人最終事業年度に係る貸借対照表の負債200億円以上

【根拠法令】
一般法人法(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)第62条、第171条、第2条第2号、同条第3号
公益社団法人、公益財団法人原則として全法人が必要だが、以下のいずれにも該当しない場合は任意。
・最終事業年度に係る収益100億円以上
・最終事業年度に係る費用及び損失の額100億円以上
・最終事業年度に係る貸借対照表の負債50億円以上

【根拠法令】
公益法人認定法(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)第5条第13号、同法施行令第6条

【参考】
上記は2025年4月1日以降の要件であり、2025年3月31日以前は以下の要件でした。
・最終事業年度に係る収益1,000億円以上
・最終事業年度に係る費用及び損失の額1,000億円以上
・最終事業年度に係る貸借対照表の負債50億円以上
学校法人・大臣所轄学校法人等(※1)
・経常費補助⾦の交付を受ける学校法⼈(補助⾦の額が少額であって所轄庁の許可を受けた場合を除く)

(※1)文部科学大臣が所轄庁である学校法人、及び次の事業規模・事業区域のいずれにも該当する法人
(1)事業規模 最終会計年度に係る収支計算書の経常的な収益の額(※2)が10億円以上又は貸借対照表の負債20億円以上
(2)事業区域 3以上の都道府県に私立学校、私立専修学校又は私立各種学校を設置していること、又は広域通信制の課程を置く私立高等学校を設置していること

(※2)以下の合計額
(1)事業活動収⽀計算書の決算の項事業活動収入計欄に計上した額(同項中収益事業収入欄及び特別収入計欄に計上した額がある場合は、これらの額を控除した額)
(2)収益事業会計に経常的な収益の額として計上した額

【根拠法令】
私立学校法第143条、同法施行令第3条第1項・第3項、同法施行規則第52条、第53条、私立学校振興助成法第14条第2項

【参考】
上記は2025年4月1日以降の要件であり、2025年3月31日以前は経常費補助⾦の交付を受ける学校法⼈のみが法定監査の対象でした。
社会福祉法人最終会計年度に係る法人単位事業活動計算書のサービス活動収益30億円超又は貸借対照表の負債60億円超

【根拠法令】
社会福祉法第37条、同法施行令第13条の3

【参考】
今後、「最終会計年度に係る収益10億円超又は負債20億円超」の範囲まで段階的に拡大する予定ですが、現時点で拡大は延期されています。
医療法人・医療法人
 最終会計年度に係る負債50億円以上又は事業収益70億円以上
・社会医療法人(※1)
 最終会計年度に係る負債20億円以上又は事業収益10億円以上、社会医療法人債を発行している社会医療法人
・地域医療連携推進法人(※2)
 全法人が対象

(※1)医療法人のうち高い公益性を備えたものと認定された医療法人
(※2)地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係 る業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人

【根拠法令】
医療法第51条第5項、第70条の14、同法施行規則第33条の2
独立行政法人事業年度の開始の日における資本金100億円以上、又は主務大臣の承認を受けた最終の貸借対照表の負債200億円以上

【根拠法令】
独立行政法人通則法第39条第1項、同法施行令(独立行政法人の組織、運営及び管理に係る共通的な事項に関する政令)第3条
国立大学法人全法人が対象

【根拠法令】
国立大学法人法第35条の2、独立行政法人通則法第39条第1項
地方独立行政法人事業年度の開始の日における資本金100億円以上、又は設立団体の長の承認を受けた最終の貸借対照表の負債200億円以上

【根拠法令】
地方独立行政法人法第35条第1項、同法施行令第7条
生活協同組合・最終の貸借対照表の負債200億円超の共済事業を行う消費生活協同組合
・共済事業を行う消費生活協同組合連合会

【根拠法令】
消費生活協同組合法第31条の10第1項、同法施行令第11条
農業協同組合・信用事業(所属員の貯金又は定期積金の受入れ)を行い、事業年度開始時の貯金・定期積金の合計額が200億円以上の農業協同組合
・最終の貸借対照表の負債200億円以上の農業協同組合連合会

【根拠法令】
農業協同組合法第37条の2第1項、第10条第1項第3号、同法施行令第22条
漁業協同組合・信用事業(所属員の貯金又は定期積金の受入れ)を行い、事業年度開始時の貯金等合計額が200億円以上の漁業協同組合又は水産加工業協同組合
・漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合連合会、共済水産業協同組合連合会

【根拠法令】
水産業協同組合法第41条の2第1項、第11条第1項第4号、第86条第2項、第92条第3項、第96条第3項、第100条第3項、第105条第3項、同法施行令第14条

なお、上記の法定監査の要件に該当しない場合であっても、任意で監査を受けることができます。

監査を受けることは、決算書の信頼性の向上、透明性の確保、不正の防止、ガバナンスの強化につながり、法人の社会的信頼の向上に大きく貢献します。

現代の社会は「信頼」の価値がますます高まっています。
実際、その意味を理解され、任意監査を受ける法人様も多くおられます。

非営利法人の監査には、営利法人とは異なる知見、すなわち各種の法規制や業界特有の動向、地域の動向やその中における各法人様の立ち位置への理解が不可欠です。
弊法人では、豊富な関与実績をもとに、各種非営利法人の実態に応じた十分かつ適切な監査サービスをご提供しております。